ハナガガシの自生地を発見しました3月29日に梼原の百一草園の管理人さんを山に案内しました。
その翌日「ハナガガシかも知れない。近くでは土佐市甲原の神社と朝倉神社にある」と連絡を受けました。ちょうど土佐市に出かける直前だったので、寄って少しだけ小枝を頂いてきました。
もう一度山に行き、下枝を採取し梼原に持って行きました。
今度は虫に喰われていない綺麗な葉でしたので、「間違いない」との即答と、見分けるポイントを教えてもらいました。
ハナガガシについて私は全く無知で、ネットでも調べました。
熊本で発見され、日本固有種で九州南部と高知県・愛媛県にしかない。
宮崎県にはやや多いそうで絶滅危惧種Ⅱ類で、高知・愛媛・大分・鹿児島はⅠ類にランク付けされています。発見元の熊本は絶滅種扱いです。
(植物園などには植栽されていますが)
ドングリ専門に観察されている方が、高知県まで2度も足を運ばれたり、
槍術の稽古用の柄に最適と、ハナガガシのドングリを集め、種蒔きをされている所もあります。
我が高知県は、先述の土佐市甲原の八幡宮(土佐市の天然記念物に指定)数十本
高知市の朝倉神社に3本。
旧十和村の広い神社に3本。
土佐市のハナガガシは植栽か自生か、はっきりしないそうです
調べた時点では明らかな自生地はまだ未発見の様で、記載が見つかりませんでした。
高知県内で神社3ヶ所。明白な自生地はなく個体数も100本未満のようです。
超希少種ですね~。
前置きが長くなりました。
4月11日 梼原から百一草園の管理人さんからの連絡で、
土佐植物研究会の会長を務めているKさん(元牧野植物園の案内人・学芸員)と
牧野植物園の研究員のM女史の3人が訪れました。
早速、家内と私の案内で現地に向かいます。
双眼鏡で梢を見られた会長さんは、葉と雄花の花序を見て「ハナガガシだ!」
樹木の幹回りを測定したり、GPSで樹木の位置をプロットしたり、樹高を測ったりしています。
林道近くの幹回り2mのハナガガシの全景です。
赤いラインが地上10mです。
根元に近い所の樹皮です
中程の樹皮です。
30m程林道を登った場所の道端にもあります。
赤い線が途上10mです。コレも樹高20m超です。
急峻な崖を降りたり登ったり、樹が余りにも高いので花の採取ができません。
上の地点のハナガガシの調査を終えて、下流のハナガガシの調査に入ります。
林道から谷に垂直に近いガレ場を花道楽さんが、調査機器を持って降りて行きます。
林道の目の前に、ハナガガシの梢と花序が見えます。
M女史が特注の高枝鎌(カーボン製の釣竿の先に特注の鎌の刃を付けたもの)を伸ばしますが、
「惜しい!、もうちょい!」
届きません
私が崖の一段下に、でも「まだダメ」です。
家内が「お父さん、脚立を使ったら」
そう、脚立を持って来ていたので、斜面から立木の間を通して向うの樹木に架けます。脚立の先端をロープで結わえています。水平の梯子ブリッジです。
私の身体もロープで命綱にします。端は林道にいる家内とM女史が持っています。
手前の枝葉が視界を遮り目標が見えません。
林道のM女史からは見えているので
「もうちょい右、もっと右、少し下」と指示がでます。
カーボン製とはいえ、水平に7mほど伸ばした竿の保持は結構重いです。
弾みをつけて何度かトライすると、手応えがありました。
背後から「掛かった、掛かった」の声
捻りながら引くと「やった、採れた!!」鎌の刃が枝の切り口に食い込んでいます。
ソロソロ引き寄せていると、途中の枝葉に触って崖の下にクルクルと舞落ちてゆきました。
それを横から見ていた会長さんが、崖を駆下りて回収に向かいます。
真上から枝の行方を見ていたので、凡その場所がわかります。
小さな木の枝に掛かっていたので、枯れ木で会長さんのいる方に払います。
難儀したけど、標本用の花穂が採れました。
M女史が新聞紙に挟んで持ち帰ります。
雄花は前年枝の先端とすぐ下の葉腋から出ています。
雌花は新枝だけに付けるようです。
小さな雌花 中央の円内
トリミングしています
受粉後2年掛けて成熟し、来年の秋に実ります。来年ドングリ拾いの予定です。
葉の様子です。
葉っぱの身長測定中です。
側脈が葉の裏も表にも出ています。葉が薄いせいでしょう。
葉柄の様子です。
皆さんお疲れ様でした。
6月5日 追記します
新聞社にTELしたら、早速取材に来てくれました。
私には計2回の取材を経て、去る5月26日に高知新聞に掲載となりました。
クロセセリ定着の記事(2010年8月12日)以来かなぁ?
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この発見には幾つかのラッキーな偶然があります。
昨年6月、百一草園にシロバナフジツツジの挿し木用の枝を提供し、
親株の開花を見たいと、彼岸ごろから再三問い合わせがありました。
25日にもまだ?咲いたら夕方チラリと伺いたいとの事でしたが。・・いや3分咲き。
私たちは樹木草花の名前を聞きたいので、時間を取って山策したかったのです。
29日に多忙な時間を割いて、昼過ぎから夕方まで来てくれました。
あちこち案内し、林道に入ろうとすると
「昨日コンクリート舗装したばかりだから車の乗り入れは遠慮してほしい」
とH氏から要請があり、途中から歩きで公園に向かいました。
道々「この木なんの木?」と質問攻めの中で、
ヤマモガシの成木かな?下枝葉を採取して持ち帰ったのです。
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