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幼虫(毛虫)の写真があります。もし嫌いな方はスルーしてください。近年生息域を最も拡大している蝶 ツマグロヒョウモンです。ツマグロヒョウモンのオスです。
勢力拡大の理由はいろいろあるでしょうが、その中で有力な物をピックアップしてみると、
① 食草はスミレです。野生種よりも栽培種のパンジー、ビオラをより好みます。
人間の手で公園や家庭に良く植えられますが、その苗に卵や幼虫がついています。
② 南方系のヒョウモンチョウで、多化性で1ヶ月程で次の世代が産まれ年中活動します。
繁殖力が非常に強い。(1年に何度も発生を繰り返す)
他の日本在来のヒョウモンチョウ類は一化性で、しかも夏は夏眠して活動しない。
③ メスの模様や飛翔する様は、毒を持つカバマダラに擬態している。(下の写真)
他のヒョウモンチョウ類は、ビュンビュンと飛ぶが、ツマグロはヒラヒラと。
毒蝶を食べて苦い思いをした天敵の鳥は、食べるのを敬遠する。らしい・・・・
左がカバマダラ(♂) 右がツマグロヒョウモン(♀)
2010年秋の撮影です。大きさもほぼ同じです。
カバマダラは南方系の蝶で、高知県でも迷蝶の部類です。初めてカバマダラを見た時には
「なんだ、ツマグロヒョウモンのメスか。次探そ......」と、思った程です。私も騙された。
因みに、ツマグロの由来はメスの前翅の先端が黒い「褄黒/端黒」のヒョウモンチョウです。
前置きを長くしてセーフゾーンとしました。(^_^) 本題です。
6月6日に幼虫が庭を歩いていました。周囲を見やると1m位離れた場所にも2匹這っていました。もう蛹になる場所を探しているのだ、と思いまた。
夕方にはやや離れた犬走りをもっと大きなのが這っていました。全長5㎝はあります。
余りにも沢山見るので珍しくもないのですが、『そうだサナギの尾端を調べよう』と、
捕まえて百均のプラ飼育ケースに入れました。
ケースの縁を這っています。黒にオレンジのラインがトレードマークです。
棘は枝別れして見るからに刺さると痛そうですが、肉棘で刺さることはありません。
6月7日の朝に前踊になった1匹が、8日の朝にはサナギになっていました。
殻はまだ柔らかいです。
プラの飼育ケースの内側一面に吐いた糸を付けてそれにぶら下がっています。
8日の夕方 サナギの殻は少し固まったようです。
(深度合成で写していますが、ケースの縁の右半分は、暈けたせいで消えていますね。)
サナギの殻が十分固まった9日夕方ケースをひっくり返して、ベースの糸を剥ぎ取ります。
周囲からプラケースの表面を丁寧になぞって剥ぎ取ります。
かつて色々試した結果、竹串の尖ってない方をカッターで斜め切りし、ペンチで強く握り竹の繊維をバラバラにした物を使います。
サナギの三面写真です。いずれも深度合成写真を使っています。
上から前(脚側)、側面、背側です。背中には5対の金色の金属光沢の突起があります。
写真に撮るときは、周囲一帯から拡散光を使うと、より光って写るようです。
サナギの尾端(鉤爪)ぎりきりの所でサナギの糸を縫い糸で結び、用意した小枝に括ります。
上は6月13日 LEDライトをラップの芯で光束を絞り、その透過光で写したものです。
腹部に黒い塊の影がありますが、胸部は均一な液体のようですね。
15日までこの状態で変化はありませんでした。
16日の夜は、上の様に胸部の翅の縁に沿って、黒い線の影が写りました。
以下は17日です。動体部分は真っ黒で身体が形成されたようです。光が透過しません。
金ボタンがまぶしく輝いていますよ~。
腹の背面の突起は、固体ではなく液体か空洞になっています。
その他の頭の先端や胸部背面も液体か空洞です。
明日あたり羽化するでしょうね。
外見からは判断しづらいてすが、羽化前兆と断言しても良いでしょう。
そうそう 危うく忘れる所でした。
雌雄がわかると言う尾端凹みの形状です。
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さて、この子は男の子?そゃとも女の子?
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