21日の鳥取地震で被災された皆様にお見舞いを申し上げます。と共に一日も早い日常に戻れるようお祈り申し上げます。
それにしても災害の多い年ですね。
春は熊本で度々の地震。夏から秋にかけて相次ぐ台風来襲と、そして今回。
昭和21年12月に南海大地震が起きる数年前には、確か山陰で規模の大きな地震があった様で、今回も次の南海大地震が近づいてきたのではないかと、不気味で心配です。
8月下旬 集落の集会所に用事があって行きました。
玄関先で何気なく上を見ると、庇の片隅に何か見慣れない塊があります。
近づいて良く見ると、繭の様です。
中央の四角部分を拡大したのが左上です。
集会所の周りを見て回ると、窓のサッシに2か所繭がありました。
裏側には既に抜け殻になったスカスカの薄い繭も3つ見つかりました。
ドライバーを持ってきて、繭と建物の間に差し込むと、繭は簡単に外れました。
蛾の蛹は、蚕の繭かスズメガの蛹(畑の土中)くらいしか記憶がありません。
玄関先のは2個くっついていて、窓際の1個と計3個を自宅に連れて帰りました。
持つとずしりと重量感があります。
歩き始めると振動を感じたか、繭の中で胴体を左右にくねらせているのが伝わってきます。
玄関先の2個は大小が密着しています。褐色で粗い目の繭で、中の蛹が透けて見えます。
検索すると、クスサンの様です。この繭を「透かし俵」ち呼ぶそうです。
クスサンの食草(樹)はなんでもアリと言った感じで、広食性だそうです。
最初の写真の右下に食草(食樹)のひとつ 栗の木が写っています。
壁に密着していた面には、塗料が剥がれ繭に引っ付いています。
その昔 家で蚕を飼っていた事もあり、大きい繭はメス・小さい繭はオスとだと思います。
この二個の繭は先にメスが繭を作り、後でオスが来て繭を作った様で、小さい方に凹みがあります。
両者は1本の糸でしっかり連結していましたので、「
赤い糸」と判断して切り離さずにそのままにします。
繭に直接光を当てると、繭が反射して内部の様子がよく見えません。背後から照らしシルエットで撮りました。繭の中では頭が互いに反対方向に向いています。
区別のために、この大きい方を№1 小さい方を№2 とします。
窓の上にいた大きいサイズを№3とします。
№1 の外側(壁と反対側)の面です。
繭全体と
それをトリミングしました。
繭は全体が太い糸ですが、それは糸で繭を作った後、糊状の液体を塗って糸を数本ずつ纏めて固めている様です。コーティングの表現が適切かな?
この太い部分を鋏で切ると硬くて、まるで針金を切るような感触です。
繭の左端には何も塗っていない部分があります。
細く柔らかい糸だけでできています。
身体を囲う固い繭とは違って、ソフトで筒状になっています。
この仕組みは羽化した後の脱出口でしょう。
内側からピンセットの頭を挿すと容易に通過できました。
アカタテハは幼虫時代は密封の巣ですが、蛹になる時には筒状の巣を作ります。
どれも羽化した時にスムーズに脱出できる様に準備しています。
№3も見てみましょう。
壁に接していた面は、コーテイングなしで糸だけです。簡単に糸が切れました。
中の幼虫を取り出しました。
中には終齢幼虫の抜け殻も残っていました。
写真を撮るときに適当に並べましたが、蛹の頭は左向きで尾部に抜け殻がありました。
カッターマットの上に置くと身体を激しくくねらせます。
正面からです。翅の付け根あたりに黒い斑紋があります。
手で持って深度合成をしましたが、余り動くので、しっぽの後半が半透明になっています(⌒∇⌒)
これは尾端です。両サイドに形ばかりの鉤爪が数対あります。もう用は成していないでしょう。
こちらも繭が大きいので、メスだと思います。
こちらは№2(オスと思う)の頭部・胸部です。
身体は少し小さいのですが、触角がわずかに幅広くなっています。
それにしても、表面は工芸品のような精緻な凹凸模様です。
№2の尾端です。
前掲の尾端とは形状が明らかに違います。
身体の側面からです。各節の気門がはっきり見えます。豆の様な形ですね。
写真の向きがマチマチですみません。前側面です。
細い針金でコイルを作り、それを繭の上面に絡めて太いワイヤーに挿して宙吊りにします。
光ケーブル架線をイメージしてもらえば良いかな?
3匹の蛹は№1と2は糸で繋がっていますので、ケース内に隔壁を作り、№3は別の飼育ケースに入れて、羽化した時に分かるように個別管理しました。
10月になり、外灯などに大きな蛾が来ているので、羽化間近と思い、朝昼夕と就寝前に確認しています。それでも繭の中では蛹が状態が良く見えませんね。
10月20日 就寝前に様子を見ると羽化していました。
羽化後の様子は次回の記事で・・・・
蛾の繭について予備知識が全くないので、調べてみました。
特に昆虫唯一の家畜であるカイコなら、詳しく研究されている筈だと・・・
またカイコは密封型の繭を作り、羽化する時に繭に穴を開けて脱出します。
その際に酵素を出して繭を溶かしていると。昔々何かで読んだ記憶があります。
それが本当かどうか知りたいと検索しました。
見つけた中で最も参考になったのが、越智伸二氏の HP 「Nature Photo Gallery」の中にある「お蚕さま」の記事です。とても詳しく載っています。
氏は blogからのリンクをお断り と記載していますので紹介にとどめます。
もし興味ある方はお手数ですが、キーワードで辿ってご覧下さい。
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