【お断り】私は専門家ではありません。成り行き上ハナガガシに興味を持った一個人です。見た目で、感想を述べています。内容に思い込みや間違いがあるかと思います。
もしお気づきの点があれば、ご指摘ご教示頂けるとありがたいです。
最初ここの樹の存在に気付いた、花道楽さんから
太字の「葉裏も緑色で、冬芽がツマヨウジの様に細長い」のが同定のポイントと聞きました。
しかし、愛南町の八幡神社のハナガガシの冬芽は太いのです。
少し葉を除けてアップにしてみます。爪楊枝を並べています。
近くのハナガガシと比較してみましょう。
こちらの冬芽は楊枝の先端部の太さです。
芽鱗も異なっている様です。
葉の形は
左の2枚が愛媛県のハナガガシの裏表(枯れ葉です)右側がこちらのハナガガシの表裏です。
数枚の生の葉を頂いて来ました。冬芽は付いていません。
左側3枚が愛媛産主脈はほぼ一直線です。 右側が近くのハナガガシ
主脈は表側にアーチ状に強く湾曲します。
下に葉を置かないと横に倒れます。
愛媛県のハナガガシの葉縁は葉裏に僅かにカールします。
(ツクバネガシはもっと顕著にカールします)
比較の為に中山神社のハナガガシ ツクバネガシの葉と冬芽です。今年2月初めに撮影
こうやって見ると、とても微妙ですね。
愛媛県のハナガガシは大部分がハナガガシ似ですが、冬芽の形状と葉縁が僅かにカールする2点がツクバネガシ似ですね。
若しかするとツクバネガシとハナガガシのハイブリッドかも・・・
そうだとすれば、「ハナガツクバネガシ」となるそうです。
妄想を膨らませると
ハナガガシはツクバネガシからの派生種とか・・・先祖返りかハナガガシへの進化途中か
交雑種は両親の特徴を併せ持つのですが、どちらの親に似ているかは個体によってブレ幅が大きいそうです。
※ その後、高知大学の学生さんが追加調査に来たので、新しい場所を案内しました。
すると、大径樹の下に樹冠の枝葉が落ちていました。10日ほど前に風で折れた様です。
そのうち1本の下に冬芽が愛媛県の個体に似た物が沢山ありました。
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下に見聞きして知ったハナガガシの特徴を列記します。
葉の特徴で判別するのが最も確実です。
・ 葉表は鮮緑色の皮質で滑らかで光沢がある。
・ 葉裏は表より薄い緑色である。(カシ類では他にアカガシ・ツクバネガシが緑色)
・ 葉身は細長い。(シルエットはシラカシに近い)…ハナガガシの由来。
・ 葉柄が基部に流れてクサビ形になる。(成木の梢の葉柄は流れずに普通にある)
・ 鋸歯は葉の末端部にある。
ふつう基部から5番目の側脈の先端が葉縁に達した所から末端にかけて見られる。
(乾燥地では3番目辺りから。逆に若木や一部の樹木では全縁に近い個体も存在する)
・ 葉の先端部は徐々に細くなり鋭く(捩れる場合あり)尖る。(葉先は尻尾状の個体もある)
・ 葉形は基部が幅広・中央部が平行・イチイガシ型など様々な個体がある。
・ 葉脈(主脈・側脈)は葉の裏表に突出する。(葉表への側脈突出は程度が異なる)
・ 葉縁は横から見ると、緩く波打つかほぼ直線である。
・ 葉の側脈間はカシ類では最も薄く柔らかい。
・ 手折って来た枝葉は水に浸けると、2~3週間は鮮度を保っている。
・ 葉を自然乾燥させると、まず光沢を失って艶が無くなり、そして緑灰色を経て徐々に灰色に変わっていく。
成木になると葉が樹冠にしかなく判別が難しい場合は幹や樹形で確認します。
幹の特徴
・ 稚樹~若木までの木肌は緑色を帯びて他の常緑ブナ類との区別は難しい。
・ 成木になると樹皮は縦に浅く裂けジグザグの模様ができ、木肌の色は明灰色から暗灰色になる。
樹形の特徴
成木の樹形は幹が真っ直ぐに伸び、中~上部で分枝する事が多い(例外もある)。ツブラジイによく似ている。
・ ハナガガシの樹冠の葉は下層の葉より小さくなるが、それでもツブラジイよりも大きい。
・ 成木の樹冠は、ハナガシの梢はやや垂れ下がり気味で傘のイメージ。ツブラジイはやや上向きで箒形になる。
・ 冬季~春先はツブラジイは少し落葉があり、梢がスカスカに見え葉も白っぽくなるが、ハナガガシは変化が少ない。
・ ハナガガシの枝は毎年更新し葉は枝先に束生(松の木の様に)階段状になるので、容易に樹齢が推定できる。
・ 樹形がハナガガシに似ていても、幹の下部2m以下に虫喰い跡(カミキリムシなど)があれば、椎の木である。
・ 冬芽はツマヨウジの様に細長く、これは他のカシ類にはない特徴である。
3月18日 ハナガガシの特徴の項目を一部訂正しました。